32.力ビが生えたテント。きれいにすることはできますか(2018/08/30)

◆表面加工した化学繊維のテントに発生した力ビは取れない。我慢して使うか、買い替えるべし

市場で一番多いのは、軽くて丈夫、コンパクトな化学繊維でできたテントだ。このテントは、両面とも防水や撥水加工が施されている。この表面処理のおかげで、雨が降っても、快適な空間が確保されるのだ。

いったん発生したカビが取れないのは、生地の両面に表面処理を施したことにある。コーティング剤で覆われた生地の表面は水をはじく。当然だ、そのための加工である。表面を肉眼で見ても、コーティング剤にすき間はない。しかし電子顕微鏡で見ると、ミクロ単位の穴は無数にあいているのだ。水ははじくが、カビはミクロの穴から、いとも簡単に中に入リ込むのだ。

カビはエサとなる栄養分があり、適度な湿り気と温度という都合のいい条件がそろわないと発生しない。

しかしエサとなる栄養分といっても、料理をしているときに飛び、漂ってテントについた油やしょう油などの食品、人間の手あかから大気中の窒素化合物まで、カビはなんでも栄養分にするから始末が悪い。

さらに致命的ともいえるのが、テントの防水加工に使われるポリウレタンだ。このポリウレタンは窒素化合物のひとつでもあるから、各社とも防カビ剤を入れてはいるが、もともとカビの発生しやすい素材なのだ。

濡れたテントを乾かさないで収納すると、大気の流れのないなかで適度な湿り気があり、カビにとっては快適な環境ができる。カビは1、2、4、8、16、32、64と、倍々に繁殖し、またたく間に広まってしまうのだ。

繁殖した力ビは内側の繊維の中に入り込んでいるので、薬品を使っても取れない。表面処理剤を取り除いて薬品を使えば取れるが、テントとしては使えない。こんなことにならないよう、いつも完全な乾燥を心がけるべし。

<一口アドバイス>
・テントのカビが生えやすい場所
(1)何枚もの生地が重なり合った出入り口の周辺
(2)インナーの薄い記事とグランドシートといった、素材の異なる生地を重ねて縫い合わせた所
(3)あらゆる縫い目、これら重なり合って縫い込まれた部分は、乾きにくい部分だ。乾燥させたと思っても、内部に湿り気が残ることもある。完全に乾いたことを確認してから収納する。

・繊維の内部にはカビはこんな簡単に入り込む
生地の両面に水を通さない表面処理が施されているから水は内部に侵入できない。しかし、表面には水のひれない小さな穴は無数にある。この穴からカビは簡単に侵入し、中の繊維に付着して繁殖する。いったん発生したカビは、カビ取りようの薬品からも表面処理したコーティング剤で守られ、取り除くことはできないのだ。

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